税務調査について

この記事では、以下の内容について解説しています。


  • 税務調査の時期、方法等
  • 税務調査の対象
  • 違法な税務調査について

税務調査の時期、方法等

税務当局は、客観的な必要性があると判断する場合に、税務調査を行うことができます。

税務調査により、課税処分や滞納処分をするために必要な資料を集めます。
この必要性が認められる場合には、税務調査を拒否することはできません。

拒否し続けた場合には、所得を推計して計算する推計課税がなされます。
また、調査の期間は、前記の除斥期間が目安になります。

そして、納税者に対し事前に通知を行うかどうかは、幹部の良識ある判断によることはいうまでもありませんが、現況についての調査が重要である事案等事前に通知をすることが適当でないと認められるものを除く事案について、事前通知を行うこととされています。

なお、統計資料によると、毎年、全体の5%程度の割合で調査が行われている模様です。

税務調査の対象

過去の裁判例では、法人への質問は、法人の代表者の他に従業員への質問も可能とされています(東京高判昭和53年10月31日)。

また、個人事業主についても当該業務に従事する家族、従業員への質問が認められています(最判昭和58年3月11日)。

また、反面調査も認められています。

反面調査とは、納税義務者の取引先などに対して行う調査で、納税義務者のみならずこれらの者と取引関係のある第三者に対しても、その相手方として質問・検査を行うことができるというものです(所得税法234条1項3号、法人税法154条1項他)。

国税庁の通達では、「税務調査は、その公益的必要性と納税者の私的利益の保護との衡量において社会通念上相当と認められる範囲内で、納税者の理解と協力を得て行うものであることに照らし、一般の調査においては、事前通知の励行に努め、また、現況調査は必要最小限度にとどめ、反面調査は客観的にみてやむを得ないと認められる場合に限って行うこととする」とされています。

違法な税務調査について

また、税務調査は、一般に、任意調査といわれますが、これは、税務当局もあくまで実力で調査を強制できないということを意味するにすぎません。

そして、違法な税務調査により課税処分の有効性が争われた事例で、大阪地判平成2年4月11日は、

「課税処分は課税標準の存在を根拠としてされるものであるから、その適否は、原則として客観的な課税要件の存否によって決せられるべきものである。

仮に、税務調査手続に何らかの違法があったとしても、それが、全く調査を欠き、あるいは公序良俗に違反する方法で課税処分の基礎となる資料を収集したなどの重大なものでない限り、課税処分の取消理由とはならないものと解される。

そうすると、原告が主張する事実関係を前提としても、被告の部下職員による質問調査の過程に本件各更正の取消理由となるような違法があったとはいえない。」

と判断しました。

この裁判例によると、手続の違法が大きく公序良俗に違反するような場合に限って、取消が認められるのではないかと考えられます。

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