税務当局の処分に対する不服申立

この記事では、以下の内容について解説しています。


  • 不服の申立方法
  • 異議申立
  • 審査請求
  • 税務訴訟

不服の申立方法

税務当局の処分に対する不服の申立方法は、当該税の種類、処分を行う主体、処分の内容により異なりますが、ここでは、一般的な、税務署が法人税の納付税額について更正決定を行った場合について説明します。

不服の申立方法としては、①異議申立、②審査請求、③訴訟の3つが設けられています。

税務署の処分に不服があるからといって、すぐに裁判所に対して訴訟を提起できるわけではありません。

まずは、①異議申立を行い、異議が認められなければ②審査請求を、審査請求でも不服が認められない場合に③訴訟提起を行います。

各不服申立の手続きにより、機関や申し立てるための時間的制約が異なります。
特に、時間的な制約については十分に注意する必要があります。

異議申立

異議申立とは、処分を行った行政庁(一般的には所轄の税務署長)に対する不服申立をいいます。

税務署長が行った処分に不服がある者は、原則として処分があったことを知った日の翌日から2か月以内に、その処分を行った税務署長に対して異議申立書を提出します。

異議申立を行った場合、申立人に対しては、判断の内容を記載した異議決定書の謄本が送達されます。

決定書には、結論部分の「主文」(異議申立を認めない「棄却」や、異議申立を認める原処分の「取消」等)のほかに、理由が附記されなければなりません。

したがって、異議申立人は、この決定書により異議の結果や理由を知ることができます。

審査請求

異議申立に対する決定を経た後、それでも原処分(当初の税務署長が行った処分等)に不服がある場合には、審査請求の手続きに移行します。

審査請求を行うには、異議決定書の謄本が送達された日の翌日から起算して1か月以内に、審査請求書を国税不服審判所長(実際には、納税地を管轄する国税不服審判所支部の首席国税不服審判官)に対して提出する必要があります。

国税不服審判では、担当審判官等の3名以上の合議により調査、審理が行われ、最終的には、国税不服審判所長が裁決を行います。

裁決の結果と理由については、裁決書の謄本が審査請求人に送達されるので、この裁決書により審査請求の結果や理由を知ることができます。

税務訴訟

審査請求によってもなお原処分(当初の税務署長が行った処分等)に不服がある場合には、裁判所に訴訟提起を行います。

訴訟の類型は様々ですが、税務署長により納付税額を更正する処分が行われた場合には、この処分の取消を求めていきます。

裁決があったことを知った日の翌日から数えて6か月以内に提訴する必要があるので、注意が必要です。

この訴訟により、不服が認められるかどうかの最終的な審理が行われます。

なお、上記のとおり、原則として、いきなり訴訟ではなく、異議申立や審査請求の手続きを経なければならないことを、不服申立前置主義といいます。

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