休車損害とは、被害車両が営業車両の場合に、車両の修理や買換えをする期間において、営業していれば得られたであろう利益の損害のことです。
営業車両とは、タクシー、ハイヤー、路線バス、観光バス、営業用貨物トラックなど、いわゆる緑ナンバーの車両のことです。
これらの車両において、修理や買換えの期間に車両が使えなかったことによって営業上の損害が生じた場合には、休車損害が認められます。ただし、被害車両以外に代替可能な車両(遊休車)があり、それを使用して営業ができる場合には、休車損害は認められません。また、たとえ遊休車を有していたとしても、その遊休車を使用することが容易でない場合にまで所有者に遊休車の利用する義務を負わせるのは相当でないとした裁判例もあります。(大阪地裁平成10年12月17日判決)
休車損害が認められる場合の算定式は以下の通りです。
(1日当たりの営業収入 - 1日当たりの支出を免れた経費)×(休車期間)
1日当たりの営業収入は、事故前3ヶ月の平均売上を基準とします。ただし、被害車両の売上が季節によって変動するような場合には、1年間の売上を考慮して同時期の平均売上を基準とすることができます。
支出を免れた経費とは、被害車両を運行させていれば支出したはずのガソリン代、車両修繕費、有料道路通行料等が該当します。これに対して、自動車保険料や駐車場使用料などは、運行しなくても支払わなければならない経費ですので、控除されません。
休車期間は、被害車両の修理または買換えに要する相当な期間です。裁判例では、科学的検証のため事故から16日間警察署に被害車両が留置されていた事案で、留置期間も含めた期間について休車損害を認めたものがあります。(名古屋地裁平成15年5月16日判決)