交通事故の被害に遭って、後遺症が残った場合、将来得られたはずの利益として逸失利益を請求できます。
そして、逸失利益は、事故前年度の収入を基礎として算定されます。
そうすると、失業者の場合には、事故前年度の収入がないので、逸失利益が0円となるのではないか、との疑問が生じます。
結論としては、失業者であっても、労働能力及び労働意欲があり、就労の蓋然性がある場合には認められます。
被害者の年齢や、職歴、就職活動をしていたなどの事情があるかどうか等を考慮して、就労の蓋然性が判断されます。しかし、年金のみによって生計をたてていたような場合には、就労の蓋然性があるとは言えないでしょう。
就労の蓋然性があると判断された場合、基礎収入は、再就職によって得られるであろう収入を基礎とすべきで、就職が内定していた場合には、その就職先の賃金が基礎収入となります。
就職活動はしているが、まだ就職先が未定という場合は、失業前の収入を基礎収入とすることになります。ただし、失業前の収入が賃金センサスの平均賃金以下の場合には、将来平均賃金が得られる蓋然性があれば、男女別の賃金センサスによる平均賃金を参考にすることもできます。