60歳の主人が交通事故に遭いまして、脊髄損傷とのことです。
入浴やトイレ、着替えなどで介護が必要で、後遺障害等級というのでしょうか、2級とのことでございます。
相手の保険会社の担当者の人がいい人で、「任意保険基準の上限で計算しました」とおっしゃり、示談しようと思っていたのですが、ある交通事故経験者の知人から「簡単に示談に応じてはいけない」と言われました。
お金のことでもめるのも、何かうしろめたいような、やましいような気持があります。どのように対応したらよろしいでしょうか?
交通事故の損害賠償請求においては、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判(弁護士)基準といった用語が出てくることがあります。
このうち、自賠責保険基準とは、後遺障害等級の認定を受けた場合、後遺障害部分について自賠責保険金が支払われることになりますが、その際に支払われる基準になります。
なお、自賠責保険金は、賠償される損害の一部となりますので、賠償されるべき損害が自賠責基準で計算された保険金額を超える場合、その差額をさらに受け取ることができることになります。
これに対し、任意保険基準、裁判(弁護士)基準は、賠償される損害全体の計算方法を指す言葉です。
任意保険基準とは、任意保険会社との交渉中において、賠償金が提示されるときに使われる言葉で、これに対し、裁判基準とは、文字通り、裁判となった場合に、裁判所が損害額を計算するにあたって用いる計算方法となります。
そして、この任意保険基準は、ほぼ間違いなく裁判基準より低い基準で、また、保険会社の提示に納得がいかない場合は、被害者として裁判を起こすことになり、その場合は、結局裁判基準で計算されるのですから、被害者側としては、常に裁判基準だけを意識して、任意保険会社と交渉すればよいことになります。
このように、裁判基準とは、裁判所が法律的に適切な判断をするために用いる基準であり、逆に言えば、それに満たない任意保険基準での計算された損害額は、適切な金額ではないということになりますから、被害者側として、それに対して不満を言うことは決してうしろめたいことではありません。