ア レンタカー業者
レンタカー業者に自動車損害賠償保障法第3条の運行供用者責任が発生するかが問題となります。運行供用者とは、「自己のために自動車を運行の用に供する者」のことで、自動車の使用についての支配権を有し、かつ、その使用により享受する利益が自己に帰属する者のことです。
レンタカーを借りる際は、レンタカー業者が、利用申込者に対し、運転免許証などの確認や利用資格の有無を審査し、使用期間は一般的に短期間で、料金も安くはなく、利用申込者が、予定利用時間、走行区域等を遵守する義務を負うなどの関係があることから、レンタカー業者にも運行供用者としての責任が発生すると考えられます。
ただし、返却期限を過ぎており、レンタカー業者が何度も返却を催促し、警察にも連絡していた等の事情がある場合に、借主の起こした事故について、レンタカー業者の運行供用者責任を否定した裁判例もあります。
イ リース業者
レンタカーと異なり、リースの場合は、一般的に長期間貸与することを目的としており、料金も、すぐに返却することを想定しない金額や違約金の定めがあることから、通常のリース契約の場合は、リース業者に自動車の使用についての支配権及び利益の帰属が認められるとは言えず、運行供用者に該当しないとされています。