民法第712条は、自己の行為の責任を弁識する能力を備えていなかった場合は、未成年者は責任を負わない、と規定されています。この自己の行為の責任を弁識する能力を、責任能力といいます。
未成年者に責任能力が認められない場合、民法第714条1項では、その未成年者を監督する法定の義務を負う者(一般的には親)が、その損害を賠償する責任を負うと規定されています。
15歳の場合に責任能力が認められるかどうかですが、裁判例を見ると、責任能力が認められる年齢は、具体的な行為の内容や、その未成年者の状況などを個別に考慮して判断していますが、11歳11ヶ月の少年に責任能力を認めた判例や、反対に12歳2ヶ月の少年に責任能力を否定した判例があります。14歳の場合は、責任能力が認められると考えます。
責任能力が認められれば、未成年者が責任を負うことになりますので、親が民法第714条1項の監督義務者としての責任を負うことはありません。
しかし、この場合でも、親の監督義務違反と未成年者の不法行為との間に因果関係が認められるときは、親に民法第709条の不法行為責任が生じるとした裁判例もあります。
ですので、未成年者の交通事故が、親の監督義務違反によって生じたと認められるような事情がある場合には、親にも責任が生じる場合があると考えます。
なお、未成年者ではありませんが、2011年4月18日に起きたてんかんの発作を原因とする鹿沼市クレーン車暴走事故では、母親が、加害者にてんかんの発作があることや、薬を飲み忘れていたことを知りながら加害者の運転を黙認していた等の事情から、裁判所が母親の責任を認めています。