評価損とは、事故前の車両価格と、事故後の車両価格の差額をいいます。
被害車両の修理をしても外観や機能に欠陥がある場合や、事故歴によって価値が下がった場合に、評価損が発生していることになります。
評価損を認めた裁判例には、下記のようなものがあります。
・メルセデスベンツE430について、高級車であり、新車登録から4ヵ月しか経過しておらず、走行距離も2,856㎞程度で、損傷がひどく修理費も高額だったこと等から、修理費の30%を評価損として認めた事案(東京地裁平成23年3月29日判決)
・ランボルギーニ・ディアブロSE30(150台の限定生産車)について、生産から10年以上経過しているものの、希少性から、愛好者の間で需要が高く、転売価値があるとして、修理費の30%を評価損として認めた事案(大阪地裁平成19年12月20日判決)
・米国製乗用車について、事故歴があることにより評価損が発生するとして、車両本体に対しては10%、修理費に対しては30%を目安として評価損を認めた事案(札幌地裁平成11年1月28日判決)
上記に対し、評価損が認められなかった裁判例には、下記があります。
・フォルクスワーゲン・ゴルフについて、高級外車で新車登録から2年弱経過したにとどまるが、走行距離が45,814㎞と比較的多いこと、損傷が比較的軽微であり部品交換によって修復可能であること等から、評価損を否定した事案(東京地裁平成15年8月28日判決)
・トヨタ・スープラについて、登録から12年以上経過していること、損傷が比較的軽微で修理により完全に修復されたこと等から、評価損を否定した事案(東京地裁平成16年4月22日判決)
評価損については、裁判官の個人的な見解に左右されるところと言えますので、被害者としては、裁判になった時には、主張しておく方がよいでしょう。