9歳の息子が高次脳機能障害というものになってしまいました。医師からそう言われました。
千葉県の横断歩道を渡っているときに20kmオーバーの車にはねられた自動車事故でした。病院で治療していましたが、加害者側の保険会社の担当者から「そろそろ治療を打ち切ってください」という連絡がきました。
一体どういうことでしょうか?
息子には治療を続けさせたいのに、ひどい話です。今から弁護士の先生に相談するのではタイミングが遅すぎるでしょうか?
教えてください。
交通事故で被害者の方が受傷した場合、病院で治療を受けることになりますが、最終的には「完治」するか、「これ以上治療を尽くしても良くならない」状態になることになります。
このうち後者については、これ以上よくならないので治療を打ち切る(中止する)という表現になり、この時点を指して「症状固定」といいます。
そして、症状固定した後にまだ症状が残っている場合、この症状が「後遺症」ということになるのです。
このように、症状固定は、これ以上治療を尽くしても良くならない状態を指しますから、通常は、主治医の医学的判断によることになります。
なお、症状固定した後は、治療を尽くしても症状が良くならないことから治療は不要という判断になり、原則としてその後の治療費の請求は認められません。
加害者に任意保険会社がついている場合、多くは、治療費を保険会社が支払っていることと思いますが、保険会社は、解決前の治療費の負担をできる限り押さえたいと考えます。
そのため、保険会社は、予め持っている症状ごとの治療期間の目安(症状にもよりますが半年から1年ということが多いです)を超えたあたりで、被害者側に治療の終了を促すことがあり、場合によっては治療費の支払いを勝手に打ち切ってしまうこともあります。
しかし、上記のとおり、「症状固定」は医師が医学的判断に基づいて診断することですから、保険会社からいわれるままに症状固定しなければと考える必要はなく、あくまでも主治医にまだ治療を受ける必要があるかどうかをおたずねいただき、まだ治療を受けた方がよいという回答であれば、そのまま治療を受け続けられた方がよいと思います。
このとき、保険会社が治療費の支払を打ち切ってしまったとしても、後に客観的に治療が必要であった(まだ治療の効果が上がる状態だった)という立証ができれば、立て替えた治療費についても請求できることになります。
最初に述べたとおり、症状固定後に後遺症が残った場合は、自賠責保険において等級の認定がされることになります。
適切な認定を受けるためには、症状固定前から必要な資料を集めておく必要がありますので、症状固定していない今の段階から弁護士に相談することをお勧めいたします。