数ヵ月治療を行いましたが、頭痛が治らなかったため、後遺障害等級の申請をしたら、12級13号となりました。
事故当時はタクシーの運転手をしていましたが、通院や頭痛の後遺症で仕事に行くことができなくなり、会社を退職しました。
この分の補償を請求することはできますか?
交通事故によって,退職せざるを得なくなった場合の損害としましては,休業損害と逸失利益が考えられます。
まず,休業損害は,事故日から症状固定日までの間,事故により休業したことによる現実の収入減をいいます。
症状固定するまでの間に退職した場合でも,事故を原因とする退職であり,退職後の収入減と事故との間に相当因果関係が認められる限り,休業損害を請求することはできます。
次に,逸失利益は,後遺障害を負ったことにより,事故前の労働を行うことができなくなり,収入が減少するために失われる利益をいいます。
事故後退職した場合でも,事故を原因とする退職であれば,休業損害と同様に請求することができます。
なお,逸失利益は症状固定後の損害となり,計算式は以下のとおりとなります。
《計算式》
【逸失利益】=【基礎収入】×【労働能力喪失率】×【労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数】
ここで基礎収入は,原則として事故前年の年収が基準となります。
次に,労働能力喪失率については,後遺障害等級に応じて一定の基準が決まっており,仕事に支障が出ている場合には,例えば12級であれば14%とされています。
最後に,喪失期間については,原則として症状固定時の年齢から67歳までの期間となり,当該期間に対応する係数を用います。
以上のように,事故により退職したとしても,その分の補償を請求することはできます。