自動車保険には、自賠責保険と任意保険があります。
自賠責保険は、自動車損害賠償保障法5条で加入が義務づけられている強制保険で、加入していない場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金という罰則があります(自動車損害賠償保障法86条の3)。支払限度額は、死亡による損害の場合3000万円、傷害による損害の場合120万円、介護を要する後遺障害の場合4000万~3000万円、その他の後遺障害の場合、1級から14級の後遺障害等級に応じて3000万円~75万円です。
自賠責保険は必要最低限の保障のため、実際の自動車事故では、自賠責保険だけでは損害をカバーしきれない場合が多く発生します。そのような場合に備えて加入するのが、任意保険です。
任意保険は、平成9年に保険が自由化されたため、各損害保険会社が様々な内容での保険プランを提供しており、プランによって保険金額や補償内容が異なりますが、代表的なものとしては以下のものがあります。
・対人賠償保険
被保険者が、被害者に対して人身損害に対する損害賠償責任を負うことによって被る損害について支払われる保険です。自賠責保険の上限額を上回る場合、上回る部分について支払われます。
・対物賠償保険
被保険自動車によって他人の財物に損害を与えてしまい、被保険者が損害賠償責任を負うときに支払われる保険です。被保険自動車で、他人の自動車や、建物、ガードレールなどを壊してしまった場合に対象となります。
・人身傷害補償保険
被保険者が、被保険自動車や他の自動車に搭乗中の事故や、歩行中の自動車事故により傷害を被った場合に、約款で規定された基準に従って算定された損害額が支払われる保険です。
・搭乗者傷害保険
契約した被保険自動車に搭乗中の人が、その被保険自動車の運行中の事故により死傷した場合に支払われる保険です。搭乗中の人とは、被保険自動車に乗っていたすべての人をいい、運転者に限られません。相手がいない自損事故の場合も対象になります。
・自損事故保険
自損事故により損害を被った場合に支払われる保険です。
・車両保険
被保険自動車に損害が生じたときに支払われる保険です。対象となるのは、他車との衝突・接触、盗難、落書き、火災・水害等の自然災害です。自損事故も含まれます。
・無保険者障害保険
無保険車傷害条項とは、被保険者が人身事故で死亡または後遺障害の損害を被った場合に、加害者が対人賠償保険に加入していない等の理由で十分な賠償がなされないときに、加害者に代わって保険会社から保険金の支払を受けられる保険。
・弁護士費用特約
被保険者などが、自動車にかかわる人身被害事故や物損被害事故に遭い、損害賠償請求を行う場合に生じる弁護士費用等や、法律相談をする場合の費用が支払われる保険。(弁護士費用等は300万円限度、法律相談費用は10万円限度が多い)