母親(75歳)が脳挫傷の怪我をして、高次脳機能障害となってしまいました。
今は自宅に戻っていますが、認知症の症状もあり、介護が必要な状態です。
私(長女)は家を出てしまっているため、父と母は二人暮らしですが、父も高齢のため父一人に介護をまかせるわけにもいかず、今は私が仕事を休んだりやりくりして、片道1時間以上かけて実家に帰っています。
保険会社との示談はこれからです。
母の分に加え、私の休業の補償や交通費も請求したいと思うのですができますか?
また、今後はヘルパーさんにお願いすることなども考えなければと思いますが、このときにかかる費用も請求できますか?
交通事故により後遺障害等級1級1号のように重度の後遺障害が認定された場合には、介護費用が認められることが多いです。
介護方法としては、①近親者による介護、②職業介護人による介護が考えられますが、どちらによるかにより、認められる賠償金にも差異が生じてきます。
①近親者による介護を前提とする場合には、介護費用は原則として1日につき8000円とされます。
したがって、休業により、それ以上の損失が出ている場合や介護のための交通費がかかっているとしても、上記金額にされてしまう可能性はございます。
また、介護内容によっては、8000円から減額されることもございます。
他方、②職業介護人による介護を前提とする場合には、原則として実費全額(通常は1日8000円よりも高額なことが多い)が認定されます。
職業介護人による介護の方が賠償額が高額になることが多いため、介護費用を認定する際に、職業介護人を前提とする金額を認定するか否かについては、職業介護人による介護の蓋然性の有無により判断されます。
具体的には、①被害者の要介護状態(後遺障害の内容・程度、被害者の状態・生活状況、必要とされる介護内容)、②現在に至るまでの介護態勢、③被害者と同居する近親者の有無及びその身体的な介護能力(年齢、体格、体調等)、④被害者と同居する近親者の就労の有無、就労の意向、就労準備状況、就労の実績などが判断要素として考慮されています。
上記要素のうち、職業介護人の蓋然性を認めた事例については、後遺障害の程度が重く、介護の負担が重い場合に、同居の近親者が高齢であるという事情や健康状態が必ずしも良くないという事情のような、介護の負担や近親者の身体的な介護能力の要素を重視されております。
また、同居の親族が、事故前は稼働していたけれども、事故によってこれを中断していたり、変則的な就労を余儀なくされているものの、今後は家計収入などのために稼働する必要があり、他に介護にあたる適当な近親者がいないという場合にも、職業介護人の蓋然性が認められる場合もあります。