A)弁護士(裁判)基準とは、被害者の方に支払われる慰謝料を計算する際に使われる基準であり、適正な慰謝料となる計算基準です。
使用される基準には3種類あり、基準の違いによって、金額に大きく変わってくるので注意が必要です。
☑慰謝料とは、交通事故で負った精神的な苦痛、損害に対して支払われるものです。
☑交通事故の被害で傷害(ケガ)を負った場合、入通・通院をして治療を受けると思います。
この場合に受け取ることができるものを、「入通院慰謝料(傷害慰謝料)」といいます。
☑ケガの治療を続けても、これ以上の改善は見込めない段階がくる場合があります。
残念ながら、完治の見込みがないとなると医師から「症状固定」の診断を受けることになります。
☑症状固定後、被害者の方には後遺症が残ってしまうことになります。
その場合は、後遺障害等級認定の申請を行ない、ご自身の等級が認定されるのを待ちます。
☑おおよそ、1~2か月で等級認定の通知が届くので(重度の後遺障害では半年ほどかかる場合もあり)、内容を確認してください。
後遺障害等級は、もっとも重度の1級から順に14級まであり、後遺障害の部位などによって号数が設定されています。
☑後遺障害等級が認定されると、受け取ることができるのが「後遺障害慰謝料」です。
☑なお、死亡事故の場合は「死亡慰謝料」になります。
その他にも、ご家族などが受け取ることができる「近親者慰謝料」があり、慰謝料は全部で4種類あることになります。
☑ご自身の後遺障害等級が認定されると、加害者が任意保険に加入している場合は、その保険会社から慰謝料など損害賠償項目と金額が記載された通知書が届きます。
☑損賠賠償金(示談金とも保険金ともいいます)は慰謝料のほか、逸失利益、介護費などの損害賠償項目が合計されたものです。
☑ところで、慰謝料の項目に、「任意保険基準(弊社基準)」と記載されていることも少なくないと思いますが、これは何かというと……。
じつは、慰謝料を計算する際、次の3つの基準が使われます。
「自賠責基準」
・自動車損害賠償補償法に基づく自賠責保険の支払基準です。
・自賠責保険は、すべての運転者(自動車、二輪車)に加入が義務付けられており、人身事故による人身損害の最低限の補償をすることが目的となっています。
・そのため、もっとも金額が低くなる基準です。
「任意保険基準」
・自賠責基準より、少し金額が高くなる基準です。
・各任意保険会社が独自に設けている基準ですが、自賠責基準のような根拠があるものではありません。
・任意保険基準で算定された慰謝料額は、保険会社の都合で計算した金額といえるので、本来、被害者の方が受け取るべき金額よりかなり低いものになります。
・したがって、任意保険基準で計算した金額で和解、示談成立させてはいけない、ということになります。
「弁護士(裁判)基準」
・金額がもっとも高額になる基準です。
・弁護士や裁判所が使う基準で、公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部が発行する「損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)に記載されています。
・被害者の方から依頼を受け、弁護士が代理人として加害者側の任意保険会社と交渉する際に主張する基準です。
・示談交渉が決裂して裁判になった場合も、弁護士はこの基準を主張しますし、最終的に裁判で認められる可能性が高い基準になります。
・弁護士(裁判)基準で算定したものが、被害者の方が受け取るべき金額になります。
☑加害者側の任意保険会社は、多くの場合に、慰謝料など損害賠償金の金額を低く見積もって提示してきます。
それは、保険会社は営利法人のため、支出となる被害者の方への保険金をできるだけ低く抑えたいからです。
☑ですから、被害者の方が「提示された慰謝料などの損害賠償金は低すぎるのではないか?」と感じるのは、正しい感覚なのです。
☑そこで、慰謝料などの増額を求めて示談交渉を行なうのですが、保険会社は被害者の方の主張を受け入れることは、まずありません。
そこで頼りになるのが、交通事故に強い弁護士です。
交通事故を弁護士に相談・依頼すると、次のようなメリットを実感できます。
交通事故の慰謝料や示談交渉で困った場合は一度、弁護士に相談してみることをおすすめします。
☑前述したように、交通死亡事故の場合に受け取ることができるのは「死亡慰謝料」になります。
☑ただし、傷害(ケガ)を負った場合とは示談解決までの流れや手続き、損害賠償項目などが違ってくるので、ご遺族は一度、弁護士に相談してみてください。