交通事故の死亡事故・後遺障害被害者の質問に回答
交通事故弁護士相談Q&A|みらい総合法律事務所

交通事故で加害者が証言を覆した場合の対処法とは?

2022年10月12日

Q)交通事故で加害者が証言を覆した場合の対処法について教えてください。

相手の信号無視による交通事故で被害にあいました。

事故当日、相手は「信号を見ていなかった」と認めていましたが、今になって、「自分の進行方向は青だった」と言い出しました。

事故の経緯は次のようなものです。

事故現場には証人が2人いて、「相手の赤信号だったのは見ていたので、ここに残って証言します」と言ってくださって、警察が来た時に証言していただきました。

相手がレンタカーだったため、まずレンタカー会社に連絡し、そこから保険会社に連絡を入れてもらい、私は病院に行きました。

後日、相手側の保険会社から「担当が決まりました」と連絡が入り、「車と治療費はこちらで対応させていただきますので、病院に行ってもお金はかかりません」と言われました。

相手が証言を変えた場合、どう対応すればいいのでしょうか?

このまま通院しても大丈夫なのでしょうか?

相手がレンタカーなので、どうなるのか不安です……。

弁護士からの回答

A)本件については、相手方の信号機が赤色であったことを証言してくれる目撃者が2人おり、

実況見分の際にも相手方の信号機が赤色であるとの証言をしているとのことなので、

相手方が証言を変えたとしても、

「相手方の信号機の色は赤色である」とされる可能性が高いと思います。

動画でも解説しています

 

交通事故で実況見分調書が重要な理由

交通事故で実況見分調書が重要な理由
☑交通事故の被害にあった場合、加害者の身元確認など、まず被害者の方がやるべきことがあります。

詳しい解説はこちら
【フローチャート図解付き】交通事故の被害者が必ずすべきこと

 

☑その中には、警察の実況見分調書への協力があります。
交通事故発生後、警察に通報すると警察官が現場に駆けつけ、現場検証(実況見分)を行ないます。

☑実況見分では、当事者である被害者と加害者の両方が立ち会い、事故の状況についてそれぞれの主張を述べます。

☑これらをもとに、警察官が総合的に判断して「実況見分調書」が作成されます。
実況見分調書は事故の状況を明らかにするための重要な資料で、今後行われる刑事事件で使われます。

☑また、被害者と加害者双方への聞き取り調査から「供述調書」も作成されます。

☑なお、実況見分調書と供述調書は、被害者側と加害者側の示談交渉や、その後の民事裁判でも証拠、判断材料として使われるので、とても重要な資料になります。

詳しい解説はこちら
警察に通報しない」「加害者とその場で示談する」のがダメな理由
交通事故の加害者の刑事手続はどのようになるのか?
実況見分により慰謝料が減額される理由とは?

 

加害者が証言を覆した…どう対応する?

加害者が証言を覆した…どう対応する?
☑交通事故の加害者には、次の3つの責任が発生します。

・刑事上の責任
・民事上の責任
・行政上の責任

☑被害者に傷害(ケガ)を負わせた場合は刑事上の責任を問われ、刑事事件となります。
警察の取り調べ後、事件は検察に送られ、起訴か不起訴かが決定されます。

【参考記事】
「刑事事件」裁判所ホームページ

☑刑事事件と並行して、民事では加害者が加入している任意保険会社と被害者側で示談交渉が行なわれます

ここで慰謝料など損害賠償金について合意されない場合は、民事裁判へと進みます

詳しい解説はこちら
加害者の刑事手続はどのようになるのか?
決裂後の調停・裁判の手続きを解説

 

☑民事手続においては、事実関係は基本的には刑事記録をもとに認定されます。

刑事手続きにおいては、当事者の言い分を聞き、捜査機関が事実関係を確定しますが、当事者の言い分が異なっている場合には、利害関係のない第三者の証言が証拠として重要になってきます。

☑近年では、ドライブレコーダーの普及により撮影された映像が重要な証拠として採用されています。

加害者が、あとになって自分が不利になる証言を覆す場合では、ドライブレコーダーの映像を証拠として提出するといいでしょう。

詳しい解説はこちら
ドライブレコーダーを使って慰謝料を増やす方法

 

レンタカー会社に損害賠償請求できるのか?

☑加害者がレンタカーだった場合、そのレンタカー会社に損害賠償請求できるかどうかは、「運行供用者責任」が問題になってきます。

☑運行供用者責任とは、「自動車損害賠償保障法」第3条で規定されているもので、

「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる」としています。

☑通常、加害車両の運転手や自動車の所有者は、この運行供用者に該当し、損害賠償責任を負うため、レンタカー会社は運行支配及び運行利益を有するものとして運行供用者責任を負うと解すべきとされます。

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交通事故では過失割合に注意が必要

交通事故では過失割合に注意が必要
☑交通事故の損害賠償実務では、示談交渉や裁判の際に信号機の色について被害者と加害者の言い分が異なることがあります。

その場合は、過失割合が大きな争点になってきます。

☑過失割合とは、交通事故の発生や損害の拡大における被害者側と加害者側それぞれの過失(責任)の割合です。

そして、過失割合に基づいて、損害賠償額を差し引く=減額することを「過失相殺」といいます。

☑過失割合は、加害者100対被害者0,加害者80対被害者20というように表され、被害者の方にも過失があった場合は、その分が損害賠償金から相殺されます。

たとえば、損害賠償金が1000万円、過失割合が加害者70対被害者30の場合であれば、300万円が減額されてしまいます。

☑信号待ちで停車中、後ろから加害車両に追突された「もらい事故」、また信号無視やセンターラインオーバーによる事故などでは加害者の過失が100と判断されることが多くあります。

☑交差点の出会い頭の衝突事故であれば、

・それぞれの車両の位置関係
・道路の幅
・一時停止規制
・優先道路の有無
・走行速度

 
など、個々の事故により総合的に判断されます。

☑事故の詳細はわかりせんが、相手方の信号機が赤色の場合、質問者の方に著しい過失(時速15㎞以上の速度違反、酒気帯び運転等)や重過失(時速30㎞以上の速度違反、酒酔い運転等)がなく、

相手方が明らかに先に交差点に進入していない限りは、過失は0%になるので通院していても問題ないかと思います

☑もし質問者の方に、著しい過失や重過失がある場合には、10~20%程度の過失が認められ、その分の治療費は後に自己負担する(賠償額総額から控除される)ことになるので、

治療費の高額化を抑えるために健康保険を使用することをおすすめします。

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☑なお、加害者が虚偽の証言をしていることは慰謝料の増額事由になり得ますので、示談交渉や訴訟の際にその旨を理由として慰謝料を増額して請求すべきであると考えます。

慰謝料に関してお困りの場合は、まずは一度、弁護士に相談してください。
 

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交通事故の過失割合と過失相殺でもめないための知識

 

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