交通事故の死亡事故・後遺障害被害者の質問に回答
交通事故弁護士相談Q&A|みらい総合法律事務所

タクシー会社の輸送責任について

2016年01月26日

タクシーに乗車中に、交差点にて赤信号無視の加害車に側面から追突され、負傷しました。当方は、青信号です。

タクシーは、被害者のため、ドライバーと私は対人賠償を受けています。
最初は、タクシー会社は、いろいろ対応してくれましたが、途中から何もしなくなりました。

これが腹立たしいところです。

この場合、私は、タクシー会社に、なんらかの補償や法的責任を問えるのでしょうか。ご教示願います。

弁護士からの回答

タクシー会社に対する法的責任としては、①使用者責任に基づく損害賠償請求、②自動車損害賠償保障法3条(運行供用者責任)に基づく損害賠償請求が考えられます。

この点、①の使用者責任が認められるためには、タクシー運転手に本件事故について過失が認められることが必要になります。

この点、信号機により交通整理の行われている交差点における四輪車同士の出会い頭事故(青信号者と赤信号者)については、基本の過失割合は、青信号車0:赤信号車100となります。

もっとも、

①赤信号車が明らかに先入していた

②青信号車に著しい過失
・脇見運転等前方不注視
・携帯電話等の無線通話装置を通話のため使用していた
・画像を注視したりしながら運転していた
・おおむね時速15㎞以上30㎞未満の速度違反
・酒気帯び運転

③青信号車に重過失
・酒酔い運転
・居眠り運転
・無免許運転
・おおむね時速30㎞以上の速度違反
・過労、病気及び薬物の影響その他の理由により正常な運転ができないおそれがある場合
などの事情が認められる場合には、タクシー運転手にも過失が認められます。

したがって、上記のような事情が認められ、タクシー運転手の過失が認められる場合には、タクシー会社に使用者責任を追求できる可能性はございます。

他方、

②運行供用者責任については、タクシー会社が

 ⑴運行供用者の無過失
 ⑵被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと
 ⑶自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったこと

を立証できなければ、運行供用者責任が認められます。

⑴運行供用者責任の無過失について
タクシー会社は、運転者自身に過失がないことに加え、運転者の選任監督につき過失のないことを立証する必要があります。
もっとも、運転者に過失がない場合には、仮に選任監督義務違反があったとしても事故との因果関係が否定されます。
そのため、結局、運転者に過失があるか否かが⑴の要件となります。

⑵被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと
本件では、加害車両の運転手に過失があることは明らかですので、この要件は充足されます。

以上より、タクシー会社に運行供用者責任が認められるためには、運転手に過失が認められるか(この場合には使用者責任も認められる)、自動車に構造上の欠陥又は機能の障害が認められることが必要です。

この相談を見た人はこちらも見ています

交通事故の弁護士無料相談

交通事故の後遺障害1級~14級・死亡事故のご相談は無料です

交通事故の慰謝料自動計算機