交通事故の死亡事故・後遺障害被害者の質問に回答
交通事故弁護士相談Q&A|みらい総合法律事務所

胸椎圧迫骨折の後遺障害等級の認定は、被害者請求と事前認定はどちらが得ですか?

2013年07月16日

教えてください。

交通事故に遭い、胸椎圧迫骨折になりました。

治療が終了して、これから自賠責の後遺障害等級認定なのですが、被害者請求と事前認定があると聞いています。

手続を間違って損をしたくないと思っているのですが、どちらの手続の方がいいのでしょうか?

ちなみに、私は自営業なので、比較的に自由になる時間がありますので、自分でできることは自分でやりたいと思っています。

弁護士からの回答

被害者請求と事前認定には、それぞれメリットがありますので、一概にどちらの手続きが得ということはありませんが、被害者の方ごとにご自身にあった手続きを選択するのがお勧めです。

被害者請求は、被害者の方が、加害者の自賠責保険会社に対し、直接損害賠償の請求をし、後遺障害等級認定を行う方法です。

これに対し、事前認定は、任意保険会社を通じて後遺障害等級認定を行う方法です。

任意保険会社を通す事前認定のメリットとしては、大きく、(1)手続きが比較的容易であること、及び、(2)最終的に裁判となった場合に遅延損害金が大きくなることが挙げられます。

事前認定では、任意保険会社が資料を収集し、不足資料については指示をしてくれますので、被害者の方が自分で全ての手続を行わなければならない被害者請求に比べて、手続きが容易であるというメリットがあります。

また、任意保険会社と話合いで解決できないような場合には裁判になりますが、裁判では、損害賠償金に対する年5%の遅延損害金を請求していくことになります。

この遅延損害金は、当然、損害額が多ければ多いほど多額になりますが、被害者請求では、裁判になる前に自賠責保険会社からお金を受け取ることになりますので、その分だけ裁判で請求する損害額が少なくなり、結果として、事前認定の場合よりも遅延損害金が少なくなります。

この遅延損害金を狙って裁判を引き延ばしたりするようなことはお勧めしませんが、最終的に裁判で解決することになった場合、事前認定の方が遅延損害金額が大きくなりますので、一応のメリットとして説明しておきます。

これに対し、被害者請求のメリットとして、(1)提出した資料を被害者の方が自ら把握できること、(2)事前にまとまったお金を受け取ることができること等が挙げられます。

事前認定では、任意保険会社がまとめて損保料率機構に資料を提出することになりますので、手続きが容易である反面、どのような資料が任意保険会社から提出されたのかを被害者の方が把握することはできません。

しかしながら、任意保険会社は、損保料率機構に資料を提出する際に、被害者の方の知らないうちに、任意保険会社の顧問医の意見書等を添付することがあります。

この意見書で被害者の方にとって不利な意見が記載されていると、後遺障害の等級が被害者の方にとって不利に認定されてしまうリスクがあります。

また、本来はあってはならないことですが、任意保険会社が後遺障害等級の認定に必要な資料を提出し忘れてしまうような場合もあります。

そのような場合には、適正な等級の認定を受けることができないリスクがありますし、被害者の方がそのことに気が付いたとしても、再度必要な資料を添付して異議申立を行わなければならず、二度手間となってしまいます。

これに対して、被害者請求では、自分で全ての手続を行いますので、提出した資料を被害者の方が自ら把握することができ、上記のような事前認定におけるリスクを避けることができます。

また、被害者請求を行い後遺障害等級が認定されたときは、任意保険会社との間で最終的な示談等が成立する前に、その等級に応じて一定の損害賠償額を受領することができます。

その額は、例えば一番軽い後遺障害である14級の場合でも75万円と規定されています。

このように、被害者請求を行えば、最終的な示談等が成立する前にある程度まとまったお金を手にすることができますので、例えば、弁護士に依頼して訴訟を行おうと考えた際の弁護士費用や訴訟提起の際に必要となる印紙代にあてることも可能です。

ご質問者様の場合には、自分でできることは自分でされたいとのことですので、上記のとおり事前認定によった場合のリスク等を避ける観点から、被害者請求の方があっているのではないかと思います。

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