先日交通事故に遭いましたが、加害者が自賠責保険にすら加入していませんでした。どうしたらいいですか?
自賠責保険は強制保険であり、自賠責保険に加入していない自動車を運行の用に供することは禁止されています(自賠法5条)。
そして、違反者には罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が課されます。
しかし、残念ながら、交通事故の加害者が自賠責保険に加入していないケースも存在します。
そして、この場合、加害者が資力のある者であればよいのですが、交通事故による損害賠償額は高額にのぼるため、多くのケースでは加害者の資力では賠償額すべてを支払うことができません。
この場合に採れる方法としては、①政府保障事業を利用する、②被害者の方がかけている任意保険を利用する方法があります。
まず、①政府保障事業についてですが、政府保障事業は、自賠法71条~82条の2に基づいて「ひき逃げ事故」や「無保険車事故(無共済事故を含む)」のように自賠責保険又は自賠責共済による救済の対象とならない被害者について、健康保険又は労災保険などの他の社会保険の給付や損害賠償責任者の支払いによっても、なお損害が残る場合に、政府が最終的な救済措置として損害をてん補する制度です。
請求から支払いまでの流れとしては、ⅰ損害保険会社等に請求関係書類を提出すると、ⅱ損害保険会社等が損害保険料率機構(以下、「損保料率機構」といいます。)に調査を依頼し、ⅲ損保料率機構が請求者に対し、照会・連絡・追加書類依頼等を行い、ⅳそれをもとに損保料率機構が国土交通省に調査結果報告を行い、ⅴ国土交通省が損害保険会社等にてん補額決定通知をし、ⅵ損害保険会社等から請求者にてん補額の支払いが行われます。
政府保障事業からの支給される金銭についての、支払基準・支給額等は自賠責と同様になっております。
次に、②任意保険の利用ですが、これは被害者の方が自動車等を所有し、任意保険に人身傷害補償特約・搭乗者傷害特約・ 無保険車事故傷害特約等の特約が付いている場合に、これらを利用して損害を補てんしてもらうという方法です。
これらの特約が付いているか否かは、保険証券をみれば確認することができます。
また、これらの特約を利用する場合、支払基準や支払額等は約款に定められておりますので、それに従って支給を受けることになります。