パートに働きに出ている兼業主婦の妻(33歳)が交通事故で死亡しました。
これから示談交渉が始まりますが、損害賠償額はいくらになりますか?
ちなみに、パート収入は月12万円です。
死亡事故の賠償項目の中で、大きなものとしては逸失利益、死亡慰謝料、葬儀費用となります。
その他の治療費や、遺族の駆け付け費用等は実費となります。
まず、葬儀費用についてですが、一般的には150万円までとなっています。
実際にかかった費用が150万円以下であれば、その実費となりますし、150万円を超えた場合でも150万円までとなります。
もっとも、被害者の社会的地位等から150万円を超えることが妥当といえる場合は、150万円を超えて認められることもあります。
次に、死亡慰謝料ですが、主婦の場合の目安の金額は2400万円とされています。
事故態様の悪質性(居眠り、無謀運転、酒気帯び運転など)や、事故後の加害者の対応(ひき逃げ、謝罪を一切しない等)の事情により、増額されます。
そして逸失利益ですが、パートで働きに出ている兼業主婦の場合、パートでの収入と、家事労働を金銭評価した場合の金額とを比べて、高い方を基礎に請求することになります。
家事労働を金銭評価した場合、33歳の主婦の方ですと、355万9000円と評価されます(亡くなった時期によって多少変わってきます)。
これは、賃金センサスという、女性の賃金の平均をとったもののうち、全学歴・全年齢の平均をとったものの額です。
なお、年齢とともに労働能力は衰えてくるのが一般ですので、被害者が高齢である場合、上記金額より多少減額される場合もあります。
ご質問では、パートの月収12万円ということですので、年収は144万円となります。
したがって、家事労働を金銭評価した場合の金額のほうが高いので、355万9000円を基礎に逸失利益を算定します。
33歳の女性の平均余命は53年となっています(平成23年の統計)。
ただ、逸失利益の算定には単純に53を乗じるのではなく、ライプニッツ係数という特殊な係数乗じることになります。
これは、53年先に手にするはずの利益を、現時点で一度に手にすることから、年5%ほどの運用が可能であり、その分減じるという考え方に基づきます。
53年に対応するライプニッツ係数は18.4934となります。
そして、仮に、年355万9000円の収入を得たとしても、その一部は生活費として費消されることから、生活費を控除することになります。
女性の場合、この生活費控除率は30%とされています。
以上より、逸失利益は
355万9000円×18.4934×(1-0.3)=4607万2607円
となります。
したがって、ご質問の損害賠償額は、葬儀費用を上限の150万円、慰謝料を一般的な目安の2400万円とすると、合計7157万2607円となります。