交通事故の死亡事故・後遺障害被害者の質問に回答
交通事故弁護士相談Q&A|みらい総合法律事務所

後遺障害等級と損害賠償について

2014年03月25日

飲酒運転の車にはねられ、父が大ケガをしました。

かなりの重症で、背柱圧迫骨折と骨盤の骨折です。まだ治療中で、正確な後遺症等級は確定していませんが、骨に変形と後遺症が残るだろうと医師から伝えられました。

損害賠償請求するにあたって、質問が3点あります。

①相手は飲酒運転だったので過失は大きくなると思うのですが、どの位こちらが有利になるでしょうか?

②背骨と骨盤に後遺症が残る場合、2つを併せて等級を決めるそうですが、その場合の等級の決定方法はどういうものなのでしょうか?

③以上から考えられる損害賠償金額は、果たしていくらくらいが妥当だと考えられるでしょうか? 父の年齢は現在61歳。定年後、再雇用で会社勤務です。詳しい事情を伝えられないので、考え方だけでも教えてください。

弁護士からの回答

① 過失割合は事故の態様に応じて変わってきます。

したがって、加害者が飲酒運転であったことがどの程度考慮されるかについても、そもそも事故がどのような態様のものであったかによって変わってきます。

そのため一概には申し上げられませんが、被害者が歩行者で、加害者が酒酔い運転であった場合、そうでない場合よりも10%~20%程度加害者の過失が加算されることが一般的です。

② せき柱圧迫骨折による後遺症としてせき柱の変形や運動障害が残ってしまった場合、変形の程度や運動制限の程度に応じて、6級、8級又は11級の後遺障害等級が認定されます。

さらに、せき柱圧迫骨折による脊髄損傷のために麻痺が残ってしまったような場合など、さらに高い等級が認定される場合もあります。

また、骨盤骨折により骨盤の変形が残ってしまった場合、12級の後遺障害等級が認定される可能性があります。

骨盤骨折により股関節の可動域が制限されてしまった場合には、可動域制限の程度に応じて、8級、10級又は12級の後遺障害等級が認定されます。

なお、13級以上の後遺障害等級が2つ以上認定された場合には、併合して1等級上の等級が認定されることになります(8級以上の後遺障害等級が2つ以上認定された場合には2等級上の等級が認定されます)。

例えば、せき柱変形について8級及び骨盤変形について12級の後遺障害等級が認定された場合には、併合して7級の後遺症として扱われます。

③ 損害賠償金額については、認定された後遺障害等級に応じて大きく変わってきます。

というのは、一般的に、損害賠償金の中でも、後遺障害に対する慰謝料と逸失利益の二つは金額が大きくなるからです。

まず、後遺障害に対する慰謝料の額は、裁判上は後遺障害等級に応じて決まっており、例えば、12級であれば290万円、11級であれば420万円、10級であれば550万円、9級であれば690万円、8級であれば830万円となります。

また、逸失利益の額については、原則として事故前年度の年収を基礎収入として、以下の計算式により算定されます。

《計算式》
【逸失利益】=【基礎収入】×【労働能力喪失率】×【労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数】

(なお、ライプニッツ係数は、将来的に得られたであろう損害金を今得ることになることから、将来にわたる利息を控除するのが公平であるとして、期間に応じて定められた係数を言います。)

なお、基礎収入については、上記のとおり事故前年度の年収により計算されるのが原則ですが、佐藤様のお父様の場合、定年後再雇用されていらっしゃるとのことですので、事故前年がまだ定年前である場合には、事故直前である再雇用された後の収入が基礎に計算されることになります。

また、労働能力喪失率は、後遺障害等級に応じて一定の基準が決まっており、例えば12級であれば14%、11級であれば20%とされています。

もっとも、せき柱の変形や骨盤の変形の場合には、実際にはそれ程就労に影響しない場合がありますので、厳密には実際の就労の状況に鑑みて決定されることになります。

労働能力喪失期間は、裁判上は、症状が固定した年齢を基準として、原則として、67歳までの期間と平均余命の半分の期間のうち何れか長い方になります。

例えば、佐藤様のお父様が61歳で症状固定となった場合には、原則として、平均余命の半分の11年間に応じたライプニッツ係数(8.3064)により計算されることになります。

この相談を見た人はこちらも見ています

交通事故の弁護士無料相談

交通事故の後遺障害1級~14級・死亡事故のご相談は無料です

交通事故の慰謝料自動計算機