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遺留分に強い弁護士ランキング・口コミの【落とし穴】と弁護士の選び方

最終更新日 2024年 12月10日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

遺留分に強い弁護士ランキング・口コミの【落とし穴】と弁護士の選び方

この記事を読むとわかること

 
遺産相続で問題になる「遺留分」について、ご存じでしょうか?

法定相続人であっても、遺産の相続分を受け取ることができない場合があります。
それは、被相続人(亡くなった方)の遺言書に他の相続人に財産を相続させる旨が書かれており、あなたの名前がない場合です。

しかし、それでは不公平すぎると思いませんか?
そこで、遺言書に名前のない法定相続人の方の最低限の生活保障のために遺留分の制度があるのです。

ただし、遺留分の請求は法律がかかわる問題のため、一人で対処するには限界があります。
早期に適切に対応するには、弁護士に相談・依頼するのがもっとも確実な方法になります。

本記事では、遺留分が認められる相続人の条件や割合、手続きなどを解説しながら、相談・依頼するべき弁護士の選び方や、弁護士ランキングや口コミサイトの落とし穴、注意するべきポイントなどについて解説していきます。

目次

相続における遺留分で損をしないための知識を解説

遺言書の効力とは?

遺産相続では、法的に「相続人」と、その「相続分」が定められています

参考資料:No.4132 相続人の範囲と法定相続分(国税庁)

 
ただし、遺産相続では原則として、法定相続よりも遺言による相続が優先されます。
そうすると、相続人なのに遺産を受け取ることができない、という事態に直面してしまう場合があります。

たとえば、亡くなった父親の遺言書が発見され、内容を確認したところ、
「遺産はすべて長男に相続させる」と書いてあった場合、長女や次男の方はどうすればいいのでしょうか?

また、「財産は、再婚相手の〇〇にすべて相続させる」などと書いてあった場合は、どうでしょう。
先妻の子供たちは遺産を、まったく相続できないのでしょうか?

 

遺留分とは?

そこで重要になるのが「遺留分」です。

遺留分とは、配偶者や子、父母などの相続人(法定相続人)が、最低限の相続財産を請求して、受け取ることができる権利です。

たとえ遺言書があっても、遺留分の権利は遺言の内容によって奪うことはできません

遺留分は、法律で保証されています(民法第1042条~1049条)。
相続人が、遺留分を請求できる権利を「遺留分侵害額請求権」といいます。

遺留分の権利には時効があり、請求できる期間が次のように決められています。

  • ・「相続開始と遺留分侵害の事実」を知った日から1年以内
  • ・相続開始や遺留分侵害の事実を知らずに時が過ぎた場合は、相続開始から10年以内

 
遺留分の請求の場合、相続開始から10年の期間は除斥(じょせき)期間となり、時効の完成猶予や更新がされないため、上記の期限を過ぎると遺留分を請求できなくなります

 
遺留分の権利を持つ人は、①配偶者、②子、③直系尊属(父・母など)になります。

  • 兄弟姉妹には遺留分は認められていません。
  • ・子が死亡している時は、その子が代襲相続人として遺留分を有します
  • ・胎児も、生きて生まれたときは遺留分を有します。

 

 
遺留分は黙っていても受け取れるものではなく、権利を有する相続人が、遺留分侵害額の請求をしなければ受け取ることができません。

遺留分の放棄は、相続開始後ならばいつでも自由に行なえます。
ただし、被相続人が生きているうちは家庭裁判所の許可が必要になります。

請求できる遺留分の割合を
一覧表で確認

遺留分については次のような割合になっています。
遺留分の金額は、相続財産の総額に遺留分の割合をかけて算出します。

<遺留分の割合の早見表>

相続人遺留分合計配偶者の
遺留分
子供の
遺留分
親の遺留分兄弟の
遺留分
配偶者のみ1/21/2
配偶者と子供1/21/41/4
配偶者と親1/21/31/6
配偶者と兄弟1/21/2
子供のみ1/21/2
親のみ1/31/3
兄弟のみ
遺留分
合計
配偶者の
遺留分
子供の
遺留分
親の
遺留分
兄弟の
遺留分
相続人:配偶者のみ
1/21/2
相続人:配偶者と子供
1/21/41/4
相続人:配偶者と親
1/21/31/6
相続人:配偶者と兄弟
1/21/2
相続人:子供のみ
1/21/2
相続人:親のみ
1/31/3
相続人:兄弟のみ

 
2018(平成30)年の法改正により、遺留分は原則として現金返還になっています。

 

遺留分を弁護士に相談・依頼するべき理由は“メリットがある”から

遺産相続における遺留分を請求するには、法的なルールを知り、簡単ではない手続きを行なう必要があります。

その際、遺留分に強い弁護士に相談・依頼すると次のようなメリットがあります

<メリット①>遺留分の有無と金額を確認できる

ご自身に遺留分があるかどうかを確認するには、次のような調査・手続きが必要です。

  • ・遺言書を探す
  • ・相続人調査(すべての相続人を確認する)
  • ・相続財産調査(すべての相続財産を確認する)
  • ・銀行などに取引利益の開示請求等を行なう
  • ・生前贈与があったかどうかの確認をする

 
遺留分がある場合、金額の算定を弁護士に依頼することができます。

<メリット②>遺留分の請求を代行してもらえる

遺留分侵害額請求権には時効があるため、できるだけ早めに対象者(遺贈や贈与を受けた者)に対して遺留分の請求を行なう必要があります。

まずは、対象者に対して内容証明郵便を送り、遺留分侵害額請求権を行使する旨の意思表示をするわけですが、これらの手続きを弁護士に依頼すれば代行してもらえます。

<メリット③>損をせずに
遺留分を受け取ることができる

遺留分に精通した弁護士であれば、すべての手続きを依頼することができるので、結果として依頼者は取りこぼすことなく、適正な遺留分を受け取ることができます。

<メリット④>精神的な
ストレスから解放される

遺留分を請求したからといって、スムーズに事が運ぶとは限りません。

兄弟や親族などとの交渉が必要な場合があり、もめてしまうケースもありますし、最終的に裁判に突入することも考えられます。

弁護士に依頼すれば、精神的なプレッシャーやストレスなどから解放されて、安心して日常を過ごすことができます

 

頼んで安心な弁護士の選び方と
ポイントは?

依頼する弁護士を間違えると
損をする可能性がある

遺産相続の遺留分を適切に受け取るためには、法律の知識が欠かせません。

では、遺留分について相談したいと思ったとき、あなたはどうしますか?

  • ・友人や知人に相談して、弁護士を紹介してもらう
  • ・町の弁護士事務所に行ってみる

 
こうした場合、その弁護士が相続について詳しくない可能性があります。

では、他の選択肢はあるでしょうか?

  • ・地方自治体の公共窓口に相談
  • ・法テラスや弁護士会に相談

 
ご自身が暮らす市区町村の役所・役場の相談窓口で相談してみるという方もいるでしょう。

しかし、遺留分に強い弁護士を選んで相談できるわけではないので、必ずしも有効とはいえません。

法テラス(日本司法支援センター)で無料相談を受けるという選択もあります。

しかし、法テラスで遺留分について解決してくれるわけではなく、必ずしも遺留分に強い弁護士を紹介してくれるわけでもありません。

 

弁護士ランキング・口コミ
サイトは信用してはいけない

インターネットにすぐにアクセスできる現代では、ネット上の弁護士ランキングや口コミサイトで調べてみる、という方も多いでしょう。

でも、ちょっと待ってください! その情報、ほんとうに正しいのでしょうか?
じつは弁護士ランキングや口コミサイトには「落とし穴」がひそんでいます

<注意ポイント①>営利目的のサイトの情報操作

なぜ弁護士ランキングや口コミサイトが運営されているかというと、民間事業者が掲載依頼者(弁護士事務所など)から広告費を得るため、ということになります。

営利目的のサイトでは、必ずしも公正で客観的な評価がされているわけではないことを理解しておくべきでしょう。

<注意ポイント②>そもそも人の評価は主観的なもの

十人十色というように、人の好みや感じ方はそれぞれですから、口コミというのも客観的な評価ではありません。

こんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

飲食店や美容室、病院の口コミを参考にして行ってみたが、満足できるものではなかった……。
口コミサイトは参考程度と考えておくほうが無難でしょう。

<注意ポイント③>弁護士を
ランキングできる公的な基準はない

これまで多くの相続問題に携わってきて思うのは、相続問題には1つとして同じものはないということです。

人はみな別個の人間であり、その集団が家族や親族ですから、すべてが唯一の存在です。

遺産相続は家族、親族に関わることですから、遺留分の問題もさまざまです。

つまり、明確な基準のない世界で弁護士を比較したり、優劣をつけてランキングすること自体、不合理なことなのです。

なお、日本のすべての弁護士が登録している日本弁護士連合会(日弁連)という団体がありますが、この日弁連ではランキングのような評価はしていないことにも留意していただきたいと思います。

見逃してはいけない!弁護士のチェックポイント

ここでは、インターネット上にある弁護士事務所のホームページで情報を確認する際、また実際に会って面談する際に、ぜひチェックしていただきたい6つのポイントについて解説します。

世の中にあふれる、さまざまな情報に惑わされずに、ご自身で弁護士を選ぶ、という視点に立って読み進めていかれるといいでしょう。

<チェックポイント①>対応が早く、適切か?

遺産相続の手続きには法的な時効期間があるため、できるだけ早めに対応していく必要があります。

弁護士事務所のホームページや電話で問い合わせても反応が遅いのであれば、その後の対応についても不安を感じてしまうものです。

初期対応の段階から弁護士の対応力をチェックしておくほうがいいでしょう。

<チェックポイント②>実務
経験年数を積み重ねているか?

弁護士経験年数が長ければいいというわけではありませんが、やはりある程度以上、弁護士として相続問題を解決してきた実務経験年数は重要です。

特に相続問題はこじれてしまうことも多く、交渉力なども大切になってくるので、やはり実務経験と年数が豊富な弁護士に依頼するほうが安心でしょう。

<チェックポイント③>納得
できる説明をしてくれるか?

いいことばかりを言ってデメリットなどに触れないような対応はいただけません。

確かな実務経験や知識があり、先を読む力がある弁護士であれば、マイナスポイントや懸念材料などもしっかり伝えてくれるはずです

また、実務経験年数はあっても説明がわかりにくい、相談者の質問にしっかり回答しない、態度が横柄といった弁護士も残念ながらいるようです。

これから正式に依頼して、ともに問題解決をしていくうえでは、納得できることは非常に重要ですから、電話での対応や実際に会って面談した時にはチェックするべきです。

<チェックポイント④>弁護士費用を明瞭・適切に説明して
くれるか?

弁護士に依頼すれば、もちろん費用がかかります。
相談者の方にとっては、金額も重要なポイントでしょう。

おもな弁護士費用には、①相談料、②着手金、③実費、④弁護士報酬などがあります。

費用の内訳や料金体系を明確に提示・説明しない弁護士には依頼しないほうがいいでしょう。

近年では、「相談料は無料」とか、「初回相談は無料」としている法律事務所が増えていますから、まずはホームページで確認して、実際の面談時には納得のいく説明を求めるべきです。

参考資料:弁護士報酬について(日本弁護士連合会)

 

<チェックポイント⑤>相続に関する書籍を執筆しているか?

相続問題に関する著書(専門書も含む)を執筆していて、弁護士事務所のホームページに掲載されているかどうかもチェックしておきましょう。

実績・実力のある弁護士のもとには、出版社から書籍などの執筆依頼や講演依頼が届くことがあるので、こうした実績も確認しておくといいでしょう。

 みらい総合法律事務所の著書はこちら

<チェックポイント⑥>お互いの相性が合っているか?

相談も依頼も交渉も、人間が行なうものですから、やはりお互いの相性も重要なチェックポイントです。

いくら実績や経験が豊富な弁護士でも、相性が悪い、合わないと感じるなら相談までにとどめ、正式な依頼はやめておいたほうがいいと思います。

というのは、後から弁護士変更をする場合、通常は初めに支払う着手金は返金されないからです。

また、契約を解除して、新たな弁護士と契約し直すのは手間もかかってしまうので避けたいところです。

遺留分請求の手続きと流れを
ステップ解説

前述したように、一定の法定相続人は遺留分を請求することができますが、次のような手続きが必要になります。

遺留分の請求に関わる手続き
6つのステップ

ご自身が遺留分を侵害されて
いるかどうかの確認

  • ・遺言書を探す
  • ・相続人調査(すべての相続人を確認する)
  • ・相続財産調査(すべての相続財産を確認する)
  • ・銀行などに取引利益の開示請求等を行なう
  • ・生前贈与があったかどうかの確認をする

 
これらの手続きを行ない、ご自身が遺留分を受け取ることができるかどうかの確認を行ないます。

遺留分侵害額請求をする

遺留分侵害額請求権には時効があるため、早めに対象者(遺贈や贈与を受けた者)に対して遺留分の請求を行ないます。

具体的には、対象者に内容証明郵便を送り、権利を行使したことを証明できるようにしておきます

この場合、金銭請求権が発生することになるため、消滅時効期間は次のように変わります。

  • ・金銭請求をすることができることを知った時から5年
  • ・金銭請求をすることができること知らない場合は10年

 

遺留分を侵害した贈与分を調査する

遺留分侵害額は、基礎財産が大きくなるほどに金額も大きくなるため、贈与分の金額の調査もします。

生前の契約によって、財産を持っている人が受け取る人に財産を譲ることを「贈与」といいます。

一方、「遺贈」とは、故人の遺言によって遺産の一部、またはすべてを無償で譲ることです。

遺言書によって、相続人や特定の個人以外にも遺産を受け継がせることができるのが相続との相違点になります。

遺贈は遺言書があれば明らかになりますが、生前贈与分は調査が困難なため、弁護士などの専門家に依頼するのがいいでしょう。

話し合い・交渉をする

受贈者や受遺者と交渉し、遺留分の金額や支払時期、支払い期限などについて話し合います。

合意した場合は、「合意書」などの書面を取り交わしますが、相手が支払わない場合はすぐに強制執行できるよう、公正証書にしておくことも検討したほうがいいでしょう。

裁判を起こす

交渉決裂となったら、弁護士に依頼して裁判を起こします。

短くて6か月、通常は1~2年ほどかかると考えておくといいでしょう。

強制執行による差し押さえ

裁判所の判決が出ても相手が従わない場合は、強制執行により財産や給料などの差し押さえを行ないます

 

遺留分を請求された場合や
生前対策について解説

ここまで、相続人が遺留分を受け取るための手続きなどについて解説してきましたが、最後に、遺留分を請求された側の対処法や、被相続人が遺留分を親族等に渡したくない場合の対応策などについてお話しします。

遺留分を請求された場合の
対処法について

生前贈与や死因贈与、遺言によって財産を受け取っていた人が、それ以外の相続人から内容証明郵便が届き、遺留分を請求された場合、次のような対処法があります。

①遺留分権利者かどうかの確認

  • ・遺留分放棄許可の有無を確認
  • ・相続放棄の有無の確認
  • ・消滅時効の確認 など

 

②遺留分の計算

③適正な財産評価

④遺留分権利者の特別受益を探す

⑤裁判所に支払期限の許与を求める
これらは複雑で難しいため、わかりやすい動画解説をご用意しています。
 

関連動画

 

遺留分を渡したくない場合の
生前対策について

遺留分は兄弟姉妹には認められていないので、兄弟姉妹に渡したくないのであれば、遺言書にその旨を明記しておきます。

その他のおもな遺留分対策には次のものがあります。

  • ①生前の遺留分放棄許可
  • ②早めの生前贈与
  • ③生前贈与と相続放棄 など

 
詳しい内容は次の動画で解説していますので視聴してみてください。
 

関連動画

なお、これら(1)(2)の対策は法律が関係してくるので、無効にならないよう、遺留分に精通した弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

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