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株券発行会社における株式譲渡の注意

最終更新日 2019年 10月09日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

平成18年4月の会社法改正前から存続する株式会社の場合、「株券発行会社」になっているケースがあると思います。

事業承継や相続対策で、分散した株式を買い集めたり、贈与を受けたり、ということあると思いますが、この際に問題が発生します。

会社法128条は、次のように定めています。

1.株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。

2.株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、その効力を生じない。

つまり、株券発行会社の場合には、当事者間の意思表示だけでは株式を譲渡の効力は生じない、ということです。

株券発行会社において、過去、株式を贈与、売買等を行っている場合、株券の交付がなかったのであれば、そもそも現時点で譲渡の効力は生じていない、ということになってしまいます。

したがって、過去、そのようなことがあったのであれば、速やかに株券を発行し、株券の交付をする必要があります。

そして、会社法128条は、「株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。」として、株券の交付は対抗要件ではなく、効力発生要件であると規定していますので、所有権移転もそのときとなり、税務判断としては、株券交付時点で所有権移転となると思われます。

これから株券発行会社において、相続対策や事業承継対策として株式の生前贈与や譲渡を行う場合には、

(1)株券を発行して、

(2)株券の占有を移転しなければなりません。

できれば、株券不発行会社に変更した方が、将来的にも上記のような問題が発生することを回避することができます。

手続きは、

①株券不発行会社にする旨の定款変更決議

②その旨の公告および株主への通知(会社法218条)

③その旨の登記

ということになります。

特に特例事業承継税制を適用されるような場合に、「実は贈与の効力が発生していなかった」などということになると大変ですので、ご注意いただければと思います。

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