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自筆証書遺言の方式緩和(相続法改正)

最終更新日 2019年 02月11日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

相続法改正前においては、自筆証書遺言は、遺言の全文、日付け、氏名を全て遺言者が自書しなければいけませんでした。

しかし、遺言の全文の自書は負担が大きいものです。

たとえば、遺言書において土地を特定するためには、所在・地番・地目・地積などを記載することになりますし、預金を特定するには、金融機関・口座の種類・口座番号・口座名義人などを記載することになります。

財産が多ければ多いほど負担が大きくなり、自筆証書遺言利用の妨げとなってしまうおそれがあります。

そこで、改正相続法では、遺言の全文自書を一部緩和しました。

次のようになります(民法第968条2項)。

①相続財産の全部または一部の目録を添付する場合、
②財産目録については自書を要しない(パソコン等で作成可)。

③ただし、自書によらない各目録の1枚1枚に署名し、押印する必要がある。

④各目録の記載がその両面にある場合にあっては、その両面に署名し、押印する必要がある。

この改正の結果、財産目録の作成が容易になり、自筆証書遺言の利用を促進することが期待されます。

さらに、相続財産の加除訂正の方式についても緩和されました。

相続法改正前においては、自筆証書遺言の加除訂正については、遺言者が、
①変更の場所を指示し、
②変更した旨を付記して特にこれに署名し、
③変更の場所に押印する
ことが要件とされていました。

しかし、これでは負担が大きいので、改正相続法では、加除訂正の方式が緩和されました。

次のようになります(同条3項)。

①旧財産目録を新財産目録のとおりに訂正する旨の文言を自書し、
②新財産目録の1枚1枚に署名し、押印する。

2019(平成31)年1月13日以後に作成された自筆証書遺言について適用されることとされています(附則第6条)。

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