• お問い合わせはこちらから
メニュー

寄与分とは?

最終更新日 2019年 02月12日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

共同相続人の中に、①被相続人の事業に関する労務の提供、②財産上の給付、③被相続人の療養看護、その他の方法により、被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者があるときは、その寄与を評価してその者の相続分に加算する制度があり、その加算される価額や持分割合を「寄与分」といいます。

寄与分が認められるのは、共同相続人のみですが、共同相続人の配偶者や子らが被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした場合には、共同相続人の補助者とみなして、当該共同相続人の寄与分として考慮される場合もあります(東京家裁平成12年3月8日審判、家月52巻8号35頁)。

寄与分とされるためには、「特別の寄与」である必要があります。

夫婦には、協力扶助義務があり(民法第752条)、直系血族や兄弟姉妹間には、扶養義務がある(民法第877条1項)ので、扶助や扶養するのは、法律上の義務であって、特別の寄与ではありません。

寄与分とされるためには、法律上の義務を超えた特別の寄与である必要があります。

したがって、①寄与分を主張する者が、寄与に対する相応の対価などを受けていないこと、②被相続人との身分関係において通常期待される程度を越える程度の寄与であること、などの要件を満たす必要があります。

寄与分をどの程度のものとするかについては、共同相続人間の協議で決定しますが、協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、寄与をした者の申立に基づいて、寄与の時期、寄与の方法および程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所の調停または審判によって決定されます(民法第904条の2第2項)。

寄与分の額は、相続財産の価額から遺贈の価額を控除した額を超えることができないとされてます(民法第904条の2第3項)。

したがって、遺言により遺産全部が遺贈されている場合には、寄与分を定めることはできないこととなります。

寄与分を定めるにあたっては、遺留分を侵害することも可能ですが、他の相続人の遺留分を侵害するかどうかについても考慮したうえで決定されることになります(東京高裁平成3年12月24日決定・家族百選第7版60)。

寄与分がある場合には、遺産分割するに際し、次のように具体的相続分を計算します(民法第904条の2第1項)。

①相続開始の時において被相続人が有した財産の価額から、寄与分額を控除する(みなし相続財産)。

この場合、債務は控除しない。

(計算式)
相続開始の時において被相続人が有した財産の価額-寄与分額=みなし相続財産

②①のみなし相続財産に、各共同相続人の相続分を乗じる。

(計算式)
みなし相続財産×各共同相続人の相続分

③②の額に、当該寄与をした者の寄与分額を加算する。

(計算式)
②の額+寄与分額=具体的相続分

具体的な事例で説明します。

被相続人の相続財産 3000万円
相続人 子A・B・C
Aに1500万円相当の寄与分が定められた。

(計算式)
①3000万円-1500万円=1500万円(みなし相続財産)
②1500万円×1/3=500万円(各共同相続人の相続分)
③A 500万円
 B 500万円
 C 500万円+1500万円=2000万円
したがって、具体的相続分は、AとBは500万円、Cは2000万円となります。

なお、改正相続法では、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした被相続人の親族は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(「特別寄与料」という)の支払を請求することができることとされました。

弁護士が経営者を全力でサポート!!
ご相談フォーム

出版物のご紹介