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遺産相続の相談は弁護士・税理士・司法書士・行政書士の誰に行うべき?

最終更新日 2023年 10月05日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

遺産相続の相談は弁護士・税理士・司法書士・行政書士の誰に行うべき?

遺産相続の相談先の候補として、弁護士・税理士・司法書士・行政書士の4種類の専門家が挙げられます。

相続税や準確定申告なら税理士、不動産登記や法人登記なら司法書士。書類作成または収集代行なら行政書士に依頼するとスムーズです。

弁護士は、遺産相続全般の悩みに対応し、特に交渉・協議・調停・訴訟等のトラブル対応を必要とする場合には適切な相談先となります。

相談内容や得意分野に着目して遺産相続の相談先を確認し、相談前の準備も交えて理解しておきましょう。

ケース別・遺産相続の相談先となる専門家

遺産相続の相談先となる専門家は、相談内容によって異なります。

全般的な相談には弁護士で対応できますが、税、登記、書類代行等、特に相談したいこと・解決すべき内容によっては、司法書士等の別の専門家の方が適切に解決のアプローチが取れる場合もあります。

▼専門家&相談のタイミング別・相談できる内容の一覧

専門家\相談のタイミング生前相続開始後
弁護士生前対策全般(税以外)相続手続き全般
トラブルが起きている時
税理士課税額の試算
節税に関する相談
課税額の試算
相続税申告の相談・代行
準確定申告の相談・代行
司法書士不動産の相続対策

経営する会社の相続対策

不動産の相続登記
会社の清算、廃業のための登記
行政書士遺言書等の作成代行遺産分割協議書の作成代行
必要書類の収集代行
許認可関連の手続き

弁護士に相談するケース

遺産相続の相談先を弁護士とするケースは、基本的に限定されません。

弁護士でないと取り扱えない場合に限定すると、遺産分割等について親族同士でトラブルに発展している場合が挙げられます。

  • ・共同相続人や受遺者等と争いがある場合
  • ・連絡が取れない相続人がいる場合
  • ・遺言書の有効性や内容に疑問がある場合
  • ・遺産分割が不公平だと感じる場合
  • ・遺産の使い込み・横領がある場合

 

税理士に相談するケース

遺産相続の相談先を税理士とするのは、相続税および所得税(準確定申告・納付)に関する悩みがあるケースです。

課税額の資産や、節税等、税に関すること全般について相談できます。

  • ・相続税の申告方法が分からない場合
  • ・相続税の課税額を試算してほしい場合
  • ・自社株式や不動産の相続がある場合(高額課税の恐れがあるため)
  • ・生前のうちに相続税の節税について相談しておきたい場合

 

司法書士に相談するケース

遺産相続の相談先を司法書士とするのは、相続手続きの中で不動産もしくは法人の登記が必要とするケースです。

その他、遺言書を適切に確認するための「検認」等、トラブルを前提としない裁判手続を必要とするケースも挙げられます。

  • ・相続登記に必要な書類が分からない場合
  • ・相続登記を代行してほしい場合
  • ・被相続人が会社経営者で、廃業等の手続きをやってほしい場合
  • ・遺言書の検認等、あくまでも事務的な裁判手続を要する場合

 

行政書士に相談するケース

遺産相続の相談先を行政書士とするのは、単に書類を作成してもらったり、書類の収集を代行してもらったりしてほしいケースです。

行政の許認可に関する手続きを必要とするケースも、行政書士が相談先となります。

  • ・遺言書作成を代行してほしい場合

 

 

  • ・遺産分割協議書の作成を代行してほしい場合
  • ・遺言執行・遺産の名義変更を代行してほしい場合
  • ・相続手続きの必要書類について収集代行をしてほしい場合
  • ・被相続人が許認可を必要とする事業を営んでおり、変更や廃止が必要な場合

 

 

遺産相続を相談できる各専門家の得意分野

遺産相続を相談できる各専門家の得意分野
遺産相続について相談対応している専門家には、それぞれの得意分野があります。

相談が発生する事例の内容はさまざまで、必ずしも紹介した典型的なケースだけとは限りません。

各専門家の得意分野が分かれば、個別の事例での相談先の見極めがスムーズです。

弁護士の得意分野

弁護士が得意とする範囲には、相続法に基づく判断とアドバイス・書類作成の代行の他に、和解に向けた協議・調停・訴訟の代理人としての業務も含まれます。

単なる手続き代行から連絡の仲介まで何でも可能ですが、特にトラブルが起きているケースは、訴訟代理権を持ち交渉実績もある弁護士の独壇場です。

税理士の得意分野

税理士が得意とする範囲は、税の申告・納付・計算に関する全般に及びます。

遺産相続に限定して言えば、相続税と準確定申告の代行を主に担い、後年実施される可能性がある税務調査にも対応します。

また、不動産や自社株式等の高額資産の評価にも通じており、過大申告を防ぎつつ節税も実現できるのが特徴です。

司法書士の得意分野

司法書士の得意分野は、登記義務の判断および登記申請のアドバイス・代行全般です。

土地建物の名義を被相続人から相続人へと変更したり、会社を清算・解散する時の手続きを行ったりすることが可能です。

その他にも相続法に基づく判断とアドバイス全般に対応していますが、訴訟代理権がない点で、弁護士と異なりトラブルには対応できません。

行政書士の得意分野

行政書士の得意分野は、各種書類作成の代行です。建築業等の許可や在留資格に関する手続きを主に担う専門家が多く、遺産相続に関しては、あらかじめ決まった内容を有効な書面(遺言書等)とする業務に通じています。

一方で、相続法に基づく判断やアドバイスは一般的な知識の範疇に留まることが多く、弁護士または司法書士に相談する方が望ましい内容となります。

遺産相続を士業に相談する前の準備

遺産相続を士業に相談する前の準備
弁護士等の専門家の無料相談には時間制限があります

遺産相続について相談するときは、遺産及び相続人についてなるべく情報提供し、何を解決したいのか明確にしておきましょう。

相談時間の無駄をなくすには、具体的に次のような準備が必要です。

遺産の状況が分かるもの(通帳・登記簿等)を収集する

専門家に相続・遺産分割等の相談を行う時は、亡くなった人(=被相続人)の財産の情報を出来る範囲で提供する必要があります。

見つかる範囲で問題ないため、以下のようなものを揃えましょう。

可能なら、遺された資産を一覧化した財産目録を作っておくのも良いでしょう。

  • ・預金口座の通帳・キャッシュカード
  • ・登記済証、登記事項証明書等
  • ・自宅に届いている固定資産課納税通知書
  • ・生命保険の加入状況が分かるもの(保険証券等)

 

分かる範囲で相続人をリストアップする

こと遺産分割の相談をする時は、相続権の範囲や割合、遺留分の状況を専門家側で把握する必要があります。

そこで、分かる範囲で構わないため、相続人をリストアップしておきましょう。

相続人が誰なのか有している知識では特定不可能な場合は、家族関係を図面やリストにして用意するのも構いません。

【例】亡くなった人に子どもがおらず、近親者は配偶者だけの場合
配偶者に加え、両親もしくは兄弟姉妹が法定相続人になると考えられます。

両親・兄弟姉妹の状況を、存命か死去しているかも含め、整理しておきましょう。

 

トラブル・悩み事を明確化する

専門家との相談では「何を解決したいのか」を明確化しておくことが重要です。

解決したい内容によっては、これから相談しようとする相手ではなく、別の士業を選択した方が良い場合もあります。

また、無料相談の時間は限られており、相談の中で解決すべき事項を決めるのは非効率的です。

何が問題なのか、どう考えているのか、できる範囲で整理しておきましょう。

▼解決したい事柄の例

  • ・相続人や相続財産の範囲・状況を確認したい
  • ・遺産分割の割合を公平にしたい
  • ・遺産分割の方法について相談したい
  • ・遺言執行や遺産分割協議書の作成を代行してほしい

 

遺産分割に強い専門家の探し方

遺産分割に強い専門家の探し方
遺産相続の対応力・解決力に優れた士業は、その特徴や問題解決のための要素から、3つのポイントを着目して探すと良いでしょう。下記が専門家探しで注目したいポイントです。

  • ・公式サイトの案内等で「実績・専門性」が分かるか
  • ・相続の悩みを抱える人向けの情報発信が緻密に行われているか
  • ・無料相談で「何でも話せて寄り添ってくれる相手だ」と感じられるか

 

実績・専門性で探す

遺産相続の相談先選びは、実績・専門性に着目して行いましょう。

例えば、弁護士の取扱い分野は非常に幅広く、相続・遺産分割について経験に基づく理解がある弁護士は一部に限られます。

相談内容に着目しても、状況や解決すべき問題は被相続人ごとに異なるため、個別判断に基づく柔軟な対応が求められます。

相続・遺産分割の知識があり、依頼者からヒアリングした内容に基づいて当事者関係の調整を含めた対応ができるのは、自信をもって実績と専門性をアピールできる弁護士です。

弁護士または法律事務所の案内を確認し、どの程度の対応力があるか推し量ってみましょう。

情報の発信力で探す

遺産相続に強い専門家選びでは、情報発信の頻度・精度にも着目しましょう。

例えば、分割すべき亡くなった親族の財産には、預貯金・現金・上場株式等の分割しやすいものだけでなく、土地建物といった換価性・分割性の低い種類の資産も含まれます。

親族間で意見対立がなくても「不動産分割をどう進めるべきか」は問題になることが多く、専門家の情報発信は必要不可欠です。

他にも「会社経営者の相続」や「空き家・賃貸物件の相続」、また「認知症の家族がいる時の相続」は頭を悩ませがちです。こうした難しい遺産分割の事例も交え、自身が持つ情報を効果的に発信できるのも、良い専門家の特徴です。

親しみやすい対応・相性で探す

遺産相続の相談に対応する専門家には、ただ知識・経験・解決力に優れているだけでなく、依頼者の目線に立った親身な対応が求められます。

そこで、無料相談を活用する等して、弁護士との相性を確かめておくのも大切です。

専門家との相性を大切にすべき理由のひとつに、家族の繊細な事情(不仲・音信不通・トラブルなど)を交えた細やかな情報提供が必要である点が挙げられます。

あまり信頼できず、必要な情報を伝えられない相手だと、限られた情報に基づいて対応してもらわざるを得なくなり、結果として満足度の低い結果になります。

何でも話せて寄り添ってくれる、そんな印象を持てる専門家だと分かってから依頼するのがベストです。

おわりに│遺産相続の悩みは弁護士に相談するのが効率的

遺産相続の悩みは弁護士に
遺産相続について相談を必要とする時は、内容により適切な専門家(士業)を選択するのが大切です。

あらためて各専門家の得意分野・相談できる内容を整理すると、次のようになります。

  • ・弁護士:遺産相続全般の悩み(特にトラブルがあるケース)
  • ・税理士:相続税・準確定申告・相続財産評価に関する内容
  • ・司法書士:不動産や会社の登記全般に関する内容
  • ・行政書士:遺言書・遺産分割協議書等の作成代行、書類収集代行

 

相続に関する相談に最も幅広く対応する弁護士は、関係する別分野の専門家との連携も密に取り、ワンストップで解決できる体制を整えています。

誰に相談すればいいのか見極めがつかない、見極めをつけようにも冷静な判断が出来ない時は、まずは弁護士に相談するのが効率的です。

ただし、相続税に関することは、税理士に相談することをおすすめします。

 

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