契約書に実際の契約日と異なる日を記入したことにより仮装と認定されて重加算税賦課決定がされたものの、処分が取り消された裁決例をご紹介します。
平成16年5月19日裁決です。
(事案)
・請求人は、AB2社との間で不動産証券化アドバイザリー契約を締結した。
・契約締結日は平成14年10月1日であったが、実際の調印日は11月25日であった。
・請求人は、平成14年10月期の確定申告において、アドバイザリー業務にかかる消費税額を控除対象仕入税額に含めて申告した。
・税務調査により否認され、重加算税賦課決定がされた。
・請求人は、国税不服審判所に審査請求をした。
(原処分庁の主張)
・請求人は、本件契約書の真実の契約締結日が平成14年11月25日であるにもかかわらず、これを同年10月1日であるかのごとく契約締結日を仮装した。
・本件アドバイザリー業務は、平成13年11月20日から平成14年11月25日にかけて行われ、その対価である本件アドバイザリー報酬は同月28日に本件各相手方に支払われている。
(裁決)
・請負契約の内容が設計、作業の指揮監督、その他の役務の提供を行うことを目的とするような物の引渡しを要しないものであるときの課税仕入れを行った日は、原則として当該請負契約で約した役務の提供の全部を完了した日によるのが相当である。(課税仕入れの時期の判定)
・本件契約書の契約締結日が真実の契約締結日と異なっていたとしても、本件契約書の契約締結日が課税仕入れの時期の判定要素となるものではないから、役務提供の真実の完了日を仮装したことにはならない。
=========================
以上です。
本件は、契約締結日の仮装を認めたものの重加算税を取り消した事例です。
これは、重加算税賦課要件を満たすには、「過少申告に向けられた隠蔽仮装」が必要ということになります。
本件では、仮装と過少申告行為は無関係として、処分を取り消したものです。
このように、仮装行為があったとしても、重加算税賦課決定が取り消されることがありますので、注意が必要です。
重加算税、国税不服審判所に対する審査請求・税務訴訟は、ご相談ください。