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弁護士法人みらい総合法律事務所

名義不動産の裁判例(税務訴訟)

監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
 代表社員 弁護士 谷原誠

最終更新日 2024年7月29日

今回は、名義不動産についての裁判例をご紹介します。

岡山地裁平成28年5月31日判決(TAINZ Z888-2048)です。

(事案の概要)

※事実関係と争点が多岐にわたるので、名義不動産について、しかもその一部のみ要約します。

●甲不動産を、納税者の家族A名義で競売により落札し、家族A名義に所有権移転登記をした。

●甲不動産の賃貸借契約の貸し主および賃料収入の預金口座は家族A名義にした。

●家族B名義で、乙不動産を買い受けた。

●乙不動産の賃貸借契約の貸し主および賃料収入の預金口座は家族B名義にした。

(裁判所の判断)

●登記記録上の所有名義人は、反証のない限り、当該不動産を所有するものと推定される。

しかし、

<甲不動産について>

●甲不動産を落札した際、入札手続は納税者が行った。

●甲不動産の落札代金は、納税者の預金口座から出勤された。

●甲不動産の賃料収入口座は、納税者が管理していた。

●家族Aは、賃貸借契約や賃料について具体的に認識していなかった。

●甲不動産は、その後売却されたが、売買手続に家族Aはかかわっておらず、納税者が行った。

<乙不動産について>

●乙不動産を買い受けた際、家族Bは中学3年生であり、納税者と同居していた。

●家族Bは、乙不動産を買い受けた際、売買を知らなかった。

●乙不動産の賃料収入口座は、納税者が管理していた。

●家族Bは、賃貸借契約や賃料について具体的に認識していなかった。

→甲不動産も乙不動産も、納税者の所有である。

名義不動産(収益物件)の場合には、一般的は、次の要素を検討する必要があるでしょう。

・不動産購入手続は誰が行ったか

・名義人に不動産購入原資はあるか

・実際の売買代金の出捐者は誰か

・預金通帳、印鑑、契約等の管理は誰か

・不動産を現実的に管理しているのは誰か

・名義人は不動産購入や賃貸借契約等を具体的に認識していたか

・賃料収入から利得を得ているのは誰か

・名義人は、不動産収入について確定申告をしているか

国税不服審判所に対する審査請求・税務訴訟は、ご相談ください。

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