今回は、質問検査拒否の刑罰が、どんな場合に発動されるのか、について裁判例をご紹介します。
質問検査は、ご承知のとおり、任意の行政調査ですが、質問検査の拒否等には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。
刑罰の対象となるのは、
・不答弁
・虚偽答弁
・検査、採取、移動の禁止、封かんの実施の拒否・妨害・忌避
・物件提示又は提出の拒否
・虚偽記載記録の提示・提出
です(国税通則法128条2号、3号)。
質問検査を拒否して起訴され、無罪となった裁判例に、東京地裁昭和44年6月25日判決があります。
裁判所は、単なる不答弁ないし拒否だけでは要件を満たすとはいえず、「その質問等についての合理的な必要が認められるばかりでなく、その不答弁等を処罰の対象とすることが不合理といえないような特段の事由が認められる場合にのみ成立する」と規範を立てました。
その上で、当該事案においては、「被告人のように、一般のいわゆる白色申告者である場合には、単に帳簿書類を見せてほしい、得意先、仕入先の住所氏名をいってほしい、工場内を見せてほしいといわれただけで、これに応じなかったといって、ただちに不答弁ないし検査拒否として処罰の対象になるものと考えることはできない」
ポイントとしては、
・質問等についての合理的な必要が認められること
・不答弁等を処罰の対象とすることが不合理といえないような特段の事由が認められることが必要
・単なる不答弁等は処罰の対象とはならない。
・但し、質問検査拒否の他の論点である青白申告承認取消及び消費税の仕入税額控除否認に注意(帳簿書類の備え付け、記録及び保存が法律の定めるところに従って行われていない)
となります。