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弁護士法人みらい総合法律事務所

不動産の譲渡の日が争われた裁判例(税務訴訟)

監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
 代表社員 弁護士 谷原誠

最終更新日 2024年9月18日

今回は、消費税で不動産の譲渡の日が争われた裁判例を解説いたします。

大阪地裁令和2年6月11日判決です。

(事案)

原告会社は、平成26年3月7日、分割子法人として設立された。

原告会社は、平成26年3月12日、Cから金地金10グラムを4万8300円で購入し、同年4月2日、その全量をCに対して4万5710円で売却した。

本件課税期間において課税売上割合が100%となった。

原告会社は、平成26年4月30日、土地建物を3億6000万円で購入する売買契約を締結した。

平成26年5月26日、売買契約に基づく所有権移転登記と引換えに、売買残代金が支払われた。

原告会社は、売買契約の締結日である平成26年4月30日が課税仕入れを行った日本件建物の取得に係る支払対価の額及び本件司法書士報酬に係る消費税等の全額を控除対象仕入税額に算入し、法定申告期限までに申告した。

税務署長は、本件課税期間における課税仕入れではないとして更正等をした。

(原告の主張)

原告の主張の根拠は、消費税法基本通達9-1-13です。

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固定資産の譲渡の時期は、別に定めるものを除き、その引渡しがあった日とする。ただし、その固定資産が土地、建物その他これらに類する資産である場合において、事業者が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日を資産の譲渡の時期としているときは、これを認める。
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これを根拠に、選択適用が可能であると主張しました。

(判決)(原告敗訴)

平成26年5月26日に、本件売主が本件不動産につき原告への所有権移転登記手続をし、原告において本件不動産の使用収益が可能となり、本件不動産の引渡しがあったというべきであって、本件建物に係る売買代金請求権が客観的にみて実現可能な状態となった時点、すなわち、同請求権について権利が確定した時点は、同日である。

本件通達も、権利確定主義に反する取扱いを認めるものではなく、固定資産の譲渡等については、通常、その引渡しという事実があれば、その対価である権利の実現が客観的に可能な状態となり、権利が確定したといえることから、本件通達本文において、引渡日を「課税仕入れを行った日」とすることを原則としつつ、本件通達ただし書において、課税資産の譲渡等に係る契約の内容によっては、当該契約の効力発生日をもって、客観的にみてその対価を収受する権利の実現が可能な状態となり、権利が確定したと認められる場合もあることから、そのような場合には契約の効力発生日を「課税仕入れを行った日」とすることを認める趣旨であると解される。

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以上です。

注意が必要なのは、この通達は、引き渡し日基準と契約日基準の選択適用が認められるわけではない、という点です。

まず、引き渡し日基準が原則となります。

そして、例外的に、契約の内容などにより、契約の効力発生日をもって、客観的にみてその対価を収受する権利の実現が可能な状態となり、権利が確定したと認められる場合には、契約日とすることも認められる、という整理になっています。

参考記事:税務訴訟を弁護士に相談・依頼するメリット

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