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弁護士法人みらい総合法律事務所

非親族に対するみなし贈与(税務訴訟)

監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
 代表社員 弁護士 谷原誠

最終更新日 2024年9月27日

同族会社においては、親族間ではみなし贈与に細心の注意を払うと思いますが、親族でない者との間のみなし贈与にも注意が必要です。

山口地裁令和元年12月18日判決です。

(事案)

A社は、特例有限会社であり、同族会社である。

A社は、訴外乙より、不動産の無償譲渡(本件贈与)を受けた。

原告は、本件贈与によって株式価額が増加したとしても贈与税の申告をした。

原告は、更正の請求をしたが、理由がない旨の通知処分を受けた。

訴外乙と原告は親族関係にない。

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相続税基本通達9-2

同族会社・・・の株式又は出資の価額が、例えば、次に掲げる場合に該当して増加したときにおいては、その株主又は社員が当該株式又は出資の価額のうち増加した部分に相当する金額を、それぞれ次に掲げる者から贈与によって取得したものとして取り扱うものとする。この場合における贈与による財産の取得の時期は、財産の提供があった時、債務の免除があった時又は財産の譲渡があった時によるものとする。

(1) 会社に対し無償で財産の提供があった場合 当該財産を提供した者
(2) 時価より著しく低い価額で現物出資があった場合 当該現物出資をした者
(3) 対価を受けないで会社の債務の免除、引受け又は弁済があった場合 当該債務の免除、引受け又は弁済をした者
(4) 会社に対し時価より著しく低い価額の対価で財産の譲渡をした場合 当該財産の譲渡をした者

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納税者は、相続税法9条が適用されるためには、「利益を受けた者」と「利益を受けさせた者」との間に、親族関係のように経済的利益の移転があっても不自然ではないような関係性が必要である旨主張しました。

しかし、判決は、以下のように判示し、みなし贈与の適用を認めました。

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相続税法9条の文理上、「当該利益を受けた者」と「当該利益を受けさせた者」との間に親族関係等の特別な関係があることを要件としていることをうかがわせる根拠はない。また、贈与税が、相続税の回避行為を防ぐ補完税であることを踏まえても、親族関係にない者に対する遺贈についても相続税の納税義務が発生する(相続税法1条の3)のであるから、贈与税の課税要件として親族関係等の特別な関係を必要とする実質的根拠もない。

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では、相続税基本通達9-2は、どう解釈したらよいか、ですが、広島高裁令和2年6月26日判決は、「通達9-2(1)の定めは、同法9条の規定に該当する場合の例示として適当なものというべきである。」と判示しています。

「同族会社」と記載があっても、「同族会社に限定」している趣旨ではないので、第三者間でも注意が必要です。

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